トップページ > 労務管理 > 用語集2

用語集2

制裁規定の制限

就業規則の懲戒処分の中で、「減給」の定めをすることがあるが、減給は労働者の賃金債権を減額するものなので、労働者の生活を脅かす可能性がある。そのため、労働基準法で減給の制裁を行う場合の限度を定めている。

労働基準法第91条

「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

・「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」というのは、1つの事案に対して減額できるのは、平均賃金1日分の半額以内でなければならないということ。

・「総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とは、1賃金支払期間において複数回減給を実施する場合であっても、減額できるのはその賃金支払期間の賃金総額の10分の1以内の範囲までであるということ。

前ページに戻る

専門業務型裁量労働時間制

業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者をその業務に就かせた場合、労使協定であらかじめ定めた労働時間働いたものとみなす制度。

対象業務は19種類に限られており、事業場の過半数労働組合または過半数労働者との労使協定を締結することにより導入することができる。

労使協定は所轄労働基準監督署へ届けることが必要。

労使協定に定める事項

  1. 制度の対象とする業務
  2. 対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと
  3. 労働時間としてみなす時間
  4. 対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保する措置の具体的内容
  5. 対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容
  6. 協定の有効期間(※3年以内が望ましいとされている)
  7. 4及び5に関し労働者ごとに講じた措置の記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること

前ページに戻る

退職金

日本の企業は、長期雇用・年功的な処遇をしてきたこともあり、退職金の制度がある会社が多く一時金や年金で支給される。一般的には、退職時における基本給等の基礎額に支給率(勤続年数等)を乗じて計算される。

自己都合で退職する場合は支給率が低く設定される。

近年では在籍時において貢献度に応じたポイントが累積され、それをベースに退職金を計算する「ポイント制退職金」も増えている。また、退職金制度を設けず、在籍時に賃金に上乗せして支払う会社もある。

退職金の性格

前ページに戻る

第一種特別加入保険料

労災保険に係る中小事業主等の特別加入者に係る保険料をいい、その額は保険料算定基礎額の総額に第一種特別加入保険料率(当該事業の労災保険料率と同一の率)を乗じて計算する。

前ページに戻る

代休

休日労働等を行った場合に、その代償措置として以後の特定の労働日の労働義務を免除することをいう。

賃金を支払うかは使用者の自由であり、就業規則や労働協約等の定めによる。

代休を取得する場合、その日が休日となる訳ではなく振替休日とは異なる。

前ページに戻る

第三種特別加入保険料

労災保険の海外派遣者に係る保険料をいい、その額は保険料算定基礎額の総額に第三種特別加入保険料率(1,000分の4)を乗じて計算する。

前ページに戻る

第二種特別加入保険料

労災保険に係る一人親方等の特別加入者に係る保険料をいい、その額は保険料算定基礎額の総額に、第二種特別加入保険料率を乗じて計算する。

前ページに戻る

懲戒

企業内部の規律や秩序を維持するために、一定の義務違反者に対して行なう制裁のこと。

懲戒の種類

  1. 譴責

    始末書を提出させ将来を戒めるもの。

  2. 減給

    賃金から一定額を差し引くもの。ただし、減給1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

  3. 出勤停止

    一定期間の就労を禁止し、労働力の受領を拒否すること。

  4. 降格

    等級制度において格付けされている等級が引き下げられ、階級や地位が下がること。

  5. 諭旨解雇

    懲戒解雇に該当する場合であっても情状を勘案し、労働者から退職する旨を勧告し、これに応じない場合に解雇すること。

  6. 懲戒解雇

    労働者の責めに帰すべき事由により、事業者が解雇すること。懲戒処分で最も重いもの。

前ページに戻る

賃金支払いの5原則

賃金は、1.通貨で、2.全額を、労働者に3.直接、4.毎月1回以上、5.一定期日を定めて支払わなければならない。

賃金から、税金、社会保険料等法令で定められているもの以外を控除する場合には、労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数代表者との労使協定が必要。

前ページに戻る

賃金台帳

使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調整し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

賃金台帳に記載する事項

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 時間外労働、休日労働、深夜労働時間数
  7. 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額
  8. 労働基準法24条1項の規定によって賃金の一部を控除した場合は、その額

前ページに戻る

通勤災害

通勤災害とは、通勤による労働者の傷病等をいう。

「通勤」とは、就業に関し、以下のa.〜c.の場所を、合理的な経路および方法で行なうことをいい、業務の性質を有するものを除くとされている。

  1. 住居と就業の場所との間の往復
  2. 就業の場所から他の就業の場所への移動
  3. 単身赴任先住居と帰省先の住居との間の移動 移動の経路を逸脱し、または中断した場合は、逸脱または中断の間およびその後の移動は「通勤」とはならない。(例外あり)

労災保険法における通勤の要件

1 就業に関し

「就業に関し」とは 通勤は、その移動が業務と密接な関連をもって行なわれなければならない。

2.住居

「住居」とは、労働者が居住して日常生活の用に供している家屋などの場所で、本人の就業のための拠点となるところをいう。 就業の必要上、労働者が家族の住む所とは別に就業の場所近くにアパートを借り、そこから通勤している場合は、そこが住居となる。

3.就業の場所

「就業の場所」とは、業務を開始し、または終了する場所をいう。

4.合理的な経路および方法

「合理的な経路及び方法」とは、移動を行なう場合、一般に労働者が用いると認められる経路及び方法をいう。 「合理的な経路」については、通勤のために通常利用する経路が、複数ある場合、それらの経路はいずれも合理的な経路となる。 当日の交通事情により迂回した場合等やむを得ずとる経路も認められるが、特段の合理的な理由もなく、著しく遠回りとなる経路をとる場合は、合理的な経路とはならない。

5.業務の性質を有するもの

「業務の性質を有するもの」とは 上記1〜4を満たす場合であっても、その行為が「業務の性質を有するもの」である場合は通勤とはならない。

6.往復の経路を逸脱し、または中断した場合

「逸脱」とは、通勤の途中で就業や通勤と関係のない目的で合理的な経路をそれることをいい、「中断」とは、通勤の経路上で通勤と関係ない行為を行なうことをいう。 通勤の途中で逸脱または中断があるとその後は原則として通勤とならないが、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲内で行なう場合には、逸脱または中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となる。

厚生労働省令で定める「逸脱」「中断」の例外となる行為

  1. 日用品の購入その他これに準ずる行為
  2. 職業能力開発促進法第15条の6第3項に規定する、公共職業能力開発施設において行なわれる職業訓練(職業能力開発総合大学校において行なわれるものを含む)、学校教育法第1条に規定する学校において行なわれる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
  3. 選挙権の行使その他これに準ずる行為
  4. 病院または診療所において診察または治療を受けること、その他これに準ずる行為
  5. 要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母および兄弟姉妹の介護(継続的にまたは反復して行なわれるものに限る)

前ページに戻る

定時決定

被保険者が実際に受ける報酬と、既に決定されている標準報酬月額がかけはなれないように、毎年1回、原則として7月1日現在の被保険者全員について、4月・5月・6月に受けた報酬の届出を行い、その年の9月以降の標準報酬月額を決定する。

定時決定を行なう為に提出する届出書を、「算定基礎届」という。

前ページに戻る

転籍

現在の雇用関係を終了させ、新たに別会社と労働契約を締結することをいう。

元の会社との労働契約が終了する点が出向とは異なる。

転籍は新たな労働契約を成立させることになるので、包括的同意では足りず、労働者との個別の合意が必要であると考えられている

前ページに戻る

特別条項付き36協定

臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別な事情が予想される場合には、特別条項付き協定を締結することで、限度時間を超える時間を延長時間とすることができる。

要件

前ページに戻る

二元適用事業

労災保険と雇用保険の適用労働者の範囲、適用方法に相違のある以下の事業については、両保険ごとにそれぞれ別に適用した方が効率的なため、別個の事業とみなして二元的に処理することとなっており、これらを二元適用事業という

  1. 都道府県および市町村の行なう事業
  2. 都道府県に準ずるものおよび市町村に準ずるものの行なう事業
  3. 六大港湾(東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港、関門港)における港湾運送の事業
  4. 農林水産の事業
  5. 建設の事業

前ページに戻る

二次健康診断等給付

労働安全衛生法に基づいて行なわれる定期健康診断等のうち、直近のもの(以下「一次健康診断」という)において、脳・心臓疾患に関連する一定の項目に異常の所見がある場合に、二次健康診断等給付が支給される。

給付の要件

1.一次健康診断の結果、異常の所見が認められること

一次健康診断の結果において、次のすべての検査項目について、「異常の所見」があると診断された場合、二次健康診断給付を受けることができる。

  1. 血圧検査
  2. 血中脂質検査
  3. 血糖検査
  4. 腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定

なお、一次健康診断の担当医師により、a.〜d.の検査項目において「異常なし」と診断された場合であっても、労働安全衛生法に基づき、事業場に専任されている産業医等が、就業環境等を総合的に勘案し、異常の所見を認めた場合には、産業医等の意見を優先する。

2.脳・心臓疾患の症状を有していないこと

一次健康診断またはその他の機会で、医師により脳・心臓疾患の症状を有すると診断された者については、二次健康診断等給付の対象とはならない。

3.労災保険の特別加入者でないこと

特別加入者の健康診断の受診は自主性に任されていることから、特別加入者は二次健康診断等給付の対象とはならない。

給付の内容

二次健康診断等給付では、二次健康診断と特定保健指導がある。

1.二次健康診断

二次健康診断は、脳血管と心臓の状態を把握するために必要な検査で、具体的には、次の検査を行なう。

  1. 空腹時血中脂質検査:空腹時において血液を採取し、食事による影響を排除した低比重リボ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リボ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)および血清トリグリセライド(中性脂肪)の量により血中脂質を測定する検査
  2. 空腹時血糖値検査:空腹時において血液を採取し、食事による影響を排除した血中グルコースの量(血糖値)を測定する検査
  3. ヘモグロビンエーワンシー検査:食事による一時的な影響が少なく、過去1〜2か月間における平均的な血糖値を表すとされているヘモグロビンエーワンシーの割合を測定する検査 ※一次健康診断で受検している場合は、二次健康診断は行なわない。
  4. 負荷心電図検査または胸部超音波検査(心エコー検査)のいずれか一方の検査
    • 負荷心電図検査:階段を上り下りする等の運動により心臓に負荷を加えた状態で、心電図を計測する
    • 検査胸部超音波検査:超音波探触子を胸壁に当て、心臓の状態を調べる検査
  5. 頸部超音波検査(頸部エコー検査):超音波探触子を頸部に当て、脳に入る動脈の状態を調べる検査
  6. 微量アルブミン尿検査:尿中のアルブミン(血清中に含まれるタンパク質の一種)の量を精密に測定する検査※ 一次健康診断の尿蛋白検査で、疑陽性(±)または弱陽性(+)の所見が認められた場合に限る

2.特定保健指導

特定保健指導は、二次健康診断の結果に基づき、脳・心臓疾患の発症の予防を図るため、医師または保健師の面接により行なわれる保健指導。

具体的には次の指導をいう。

  1. 栄養指導:適切なカロリーの摂取等、食生活上の指針を示す指導
  2. 運動指導:必要な運動の指針を示す指導
  3. 生活指導:飲酒、喫煙、睡眠等の生活習慣に関する指導

二次健康診断の結果、脳・心臓疾患の症状を有していると診断された場合は特定保健指導は実施されない。

前ページに戻る

年次有給休暇

入社後6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した者に付与される。

年次有給休暇日数

1.通常の労働者

勤続年数 6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

2.週所定労働時間が30時間未満、かつ、週所定労働日数が4日以下の労働者(比例付与)

(1)週所定労働日数が4日または1年間の所定労働日数が169日〜216日

勤続年数 6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
付与日数 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日

(2)週所定労働日数が3日または1年間の所定労働日数が121日〜168日

勤続年数 6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
付与日数 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日

(3)週所定労働日数が2日または1年間の所定労働日数が73日〜120日

勤続年数 6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
付与日数 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日

(4)週所定労働日数が1日または1年間の所定労働日数が48日〜72日

勤続年数 6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
付与日数 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

年次有給休暇の賃金

年次有給休暇の賃金は、次のいずれかのものとする。

  1. 平均賃金
  2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  3. 健康保険法に定める標準報酬日額相当額

a.及びb.は就業規則等により、c.は労使協定により定める必要がある。

年次有給休暇の時効

年次有給休暇の請求権は、付与されて2年間で時効により消滅する。

年次有給休暇の時季変更権

年次有給休暇は労働者の請求する時季に与えなければならないが、請求された時季に休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合、使用者は他の時季に変更する事ができる。

年次有給休暇の計画的付与

使用者は労働者の5日を超える部分の年次有休休暇について、労使協定を締結することで計画的に取得させることができる。

計画的付与例

年次有給休暇の時間単位の付与

労使協定を締結することにより、年5日を限度として、時間単位で年次有給休暇を与えることができる。

労使協定に記載する事項

年次有給休暇の買上げ

年次有給休暇を取得すると所定労働日の労働義務が免除されるが、単純に金銭を与えて年次有給休暇を消化させることはできない。 法定日数を超えた部分、時効や退職により権利が消滅する部分については、事前の買上げとは異なるものなので労働基準法違反とはならない。

前ページに戻る

ノーワーク・ノーペイの原則

労働者が労務の提供をしない場合、使用者は賃金を支払う必要はないという原則。

欠勤や休日によって労働者が働いていない場合、労働者にその部分の賃金を請求する権利はない。

ただし、使用者の責に帰すべき事由により休業した場合、使用者は休業手当を支払わなければならない。

前ページに戻る

賠償予定の禁止

労働基準法16条

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

この定めの趣旨は、労働者が使用者に対して損害賠償を予定することにより、身分的に拘束されることを防止することにある。実際に生じた被害額に関係なくこのような定めをすると、事前に定めた損害賠償額の負担を労働者が求められることとなり、退職の事由が拘束されてしまう。

この定めは事前に予定することを禁止しているのであり、現実に損害が発生した場合にその賠償を求めることは禁止していない。

前ページに戻る

配転

配置転換ともいい、人事異動により部署やそれと合わせて勤務地、職務内容等が変わることをいう。 日本の企業は長期雇用を前提としているため、配転によりキャリア形成がされてきた。

前ページに戻る

非常時払

労働基準法25条

使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

厚生労働省令で定める非常の場合

前ページに戻る

標準報酬月額

健康保険や厚生年金保険では、被保険者が事業主から受ける報酬をいくつかの等級に区分した仮の報酬にあてはめ、これをもとに保険給付額や保険料を計算する。 被保険者が実際に受ける報酬に基づいて、毎月、保険給付額や保険料を計算するのはとても煩雑なためにこのような方法となっている。

前ページに戻る

付加金の支払

労働基準法114条

裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第6項の規定による賃金を支払わなかった使用者に対して、 労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。 ただし、この請求は、違反のあった時から2年以内にしなければならない。

付加金を請求できるケース

  1. 解雇予告手当(法20条)
  2. 休業手当(法26条)
  3. 割増賃金(法37条)
  4. 年次有給休暇の賃金(法39条6項)

前ページに戻る

福利厚生

賃金とは別に、労働者の労働意欲を向上させるための施策をいう。

福利厚生の種類

前ページに戻る

振替休日

就業規則または労働協約により予め定められた休日を労働日とし、その代わりに休日となった日をいう。

要件

前ページに戻る

フレックスタイム制

日の労働時間の長さを固定的に定めず、1ヶ月以内の一定期間の総労働時間を定めておき、労働者はその総労働時間の範囲で各労働日の労働時間を決定し、その生活と業務の調和を図りながら効率的に働くことができる制度。

導入の要件

就業規則その他これに準ずるものにおいて、始業及び終業の時刻をその労働者の自主的な決定に委ねる旨定める。

労使協定で定める事項

  1. 対象労働者の範囲 ・個人別、課ごと、グループごと等様々な範囲が考えられる。
  2. 清算期間 ・労働者が労働すべき時間を定める期間。
    • 清算期間の長さは1ヶ月以内に限られ、賃金計算期間に合わせて1ヶ月とすることが一般的。
  3. 清算期間における起算日 ・単に「1ヶ月」というような形ではなく「○日」という形で具体的に定める。
  4. 清算期間における総労働時間 ・労働者が清算期間内において、労働すべき時間として定められている時間であり、清算期間における所定労働時間のこと。
    • この時間は清算期間を平均し、1週間の労働時間が40時間:(特例措置対象事業は44時間)以内になるように定めなければならない。
    • 清算期間における総労働時間 ≦ 清算期間の日数 ÷ 7日 × 1週間の法定労働時間
    • 1ヶ月を清算期間とした場合の総労働時間 40時間の場合 44時間の場合
      日数 40時間の場合 44時間の場合
      31日 177.1 194.8
      30日 171.4 188.5
      29日 165.7 182.2
      28日 160 176
  5. 標準となる1日の労働時間
    • 年次有給休暇を取得した際に、何時間労働したものとして取り扱うのかを明確にするために定める。
  6. コアタイム
    • 1日のうちで必ず働かなければならない時間帯。
    • 必ず設けなければならないものではないが、これを設ける時はその時間帯の開始および終了の時刻を明記しなければならない。
  7. フレキシブルタイム
    • 労働者がその選択により労働することができる時間帯に制限を設ける場合は、その時間帯の開始および終了時刻を定める必要がある。

前ページに戻る

変形労働時間制

通常は1日8時間、1週40時間を超えて労働させた場合、使用者は割増賃金を支払う必要がある。

この原則的な労働時間制を弾力的に運用できるものとしたのが変形労働時間制であり、単位期間を平均して1週あたりの労働時間が法定労働時間を超えない場合、割増賃金を支払うことなく労働させることができる制度。

変形労働時間制には以下のものがある

前ページに戻る

みなし労働時間制

労働基準法では、労働時間を算定しがたい場合に限り、所定労働時間または協定等で定められた時間労働したものとみなす、「みなし労働時間制」を認めている。

「みなし労働時間制」には以下の種類があり、それぞれ導入に当たっての要件が定められている。

前ページに戻る

雇止め

期間の定めて雇用した労働者との契約を更新しないことをいう。

契約の更新を繰り返して一定期間雇用の継続を行なったが、契約更新をせずに期間満了をもって退職させるといったことから、「雇止め」のトラブルが問題となっている。

厚生労働省は、トラブルの防止や解決を図り、有期労働契約が労使双方から良好な雇用形態のひとつとして活用されるようにとの観点から、労働基準法第14条第2項に基づき、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を策定している(平成20年3月1日一部改正)。

前ページに戻る

療養(補償)給付

業務または通勤が原因で負傷したり、病気にかかって療養を必要とするとき、療養補償給付(業務災害)、療養給付(通勤災害)が支給される。

給付の内容

療養の給付

労災病院や指定医療機関・薬局等(以下「指定医療機関等」という)で、無料で治療や薬剤の支給等を受けられる(現物給付)

療養の費用の支給

近くに指定医療機関等がないなどの理由で、指定医療機関等以外の医療機関や薬局等で療養を受けた場合に、その療養にかかった費用を支給するもの(現金給付)

治ゆ

労災保険における「治ゆ」とは、身体の諸器官・組織が健康時の状態に完全に回復した状態のみをいうものではなく、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行なってもその医療効果が期待できなくなった状態をいう。

前ページに戻る

労働契約期間の上限

労働契約に期間を設ける場合は、下記の内容で締結することが可能です。

原則:3年

有期労働契約(特例3.に定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る)を締結した労働者(下記特例1.または特例2.に該当する者を除く)は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

特例1.上限5年

専門的な知識、技術または経験(以下「専門的知識」)という)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る)との間に締結される労働契約

厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等

  1. 博士の学位を有する者
  2. 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士又は弁理士のいずれかの資格を有する者
  3. システムアナリスト試験又はアクチュアリー試験に合格している者
  4. 特許法に規定する特許発明の発明者、意匠法に規定する登録意匠を創作した者又は種苗法に規定する登録品種を育成した者
  5. 大学卒で実務経験5年以上、短大・高専卒で実務経験6年以上又は高卒で実務経験7年以上の農林水産業の技術者、鉱工業の技術者、機械・電気技術者、システムエンジニア又はデザイナーで、年収が1,075万円以上の者
  6. システムエンジニアとして実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントで、年収が1,075万円以上の者
  7. 国等によりその有する知識等が優れたものであると認定され、上記1から6までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者

特例2.上限5年

満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約

特例3.その期間

一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約

前ページに戻る

労働者名簿

使用者は、各事業場ごとに労働者一人ひとりの労働者名簿(日日雇入れられる者を除く)を作成しなければならない。

労働者名簿の記載事項

  1. 氏名
  2. 生年月日
  3. 履歴
  4. 性別
  5. 住所
  6. 従事する業務の種類(30人未満の労働者を使用する事業を除く)
  7. 退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合はその理由を含む)
  8. 死亡の年月日及びその原因

前ページに戻る

労働時間

法定労働時間

労働基準法で定められた労働時間の限度時間。

1日 → 8時間

1週 → 40時間

上記時間を超えて労働者を働かせる場合は、割増賃金の支払いが必要となる。

所定労働時間

会社で定めた労働時間。この時間を超えて労働させたとしても、法定労働時間を超えない場合は割増賃金を支払う必要はなく、会社の定めにより支払うことになる。

前ページに戻る

労働条件の明示

労働条件が不明確であることにより、使用者と労働者との間で理解が食い違い、トラブルが生じることが考えられる。

そのため、使用者は労働者を雇用する場合は労働条件を明示しなければならない。

なお、明示された労働条件が事実と相違する場合は、労働者は即時に労働契約を解除することができる。 また、就業のため住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合は、使用者は必要な旅費を負担しなければならない。

明示しなければならない事項

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
  3. 始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
  4. 賃金(6、7に定める賃金を除く)の決定、計算及び支払方法、締切及び支払の時期、昇給に関する事項
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
  6. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
  7. 臨時の賃金、賞与、1ヶ月を超える期間を要件とする手当等に関する事項
  8. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  9. 安全及び衛生に関する事項
  10. 職業訓練に関する事項
  11. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  12. 表彰及び制裁に関する事項
  13. 休職に関する事項

※1〜5までの事項については、「昇給に関する事項」を除き書面の交付が必要

※6〜13までの事項については、慣行となっている場合も含めて定めがある場合には必ず明示する必要がある。

※パートタイム労働者に対しては、上記に加えて「昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無」を文書等により明示しなければならない。

前ページに戻る

労働保険料

政府が、労働保険(労災保険、雇用保険)の事業の運営に要する費用に充てるため、主として事業主から徴収する保険料をいう。

労働保険料は下5つに区分される。

  1. 一般保険料
  2. 第一種特別加入保険料
  3. 第二種特別加入保険料
  4. 第三種特別加入保険料
  5. 印紙保険料

前ページに戻る

ワーク・シェアリング

労働者が仕事を分かち合ったり、労働時間を短縮したりすることで、雇用を維持・創出するという考え方。

緊急避難型

業績が悪くなり仕事量が減った場合に、従業員の労働時間を減らし賃金が下がっても雇用を守る方法。

多様就業対応型

通常よりも労働時間を短縮し働く機会を増やすことを狙いとする。 従業員は育児や家事といったことに時間を割くことができ、女性や高齢者の社会進出に繋がると考えられている。

前ページに戻る

ワーク・ライフ・バランス

仕事と生活の調和とは(ワーク・ライフ・バランス憲章)

「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」

具体的には以下の内容とされている。

  1. 就労による経済的自立が可能な社会 経済的自立を必要とする者、とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。
  2. 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会 働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。
  3. 多様な働き方・生き方が選択できる社会 性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。

前ページに戻る

割増賃金

労働者に時間外労働、深夜労働(原則として午後10時〜午前5時)、または休日労働をさせる場合には、会社は割増賃金を支払う必要がある。

(平成22年4月1日から、大企業において1ヶ月に60時間を超える時間外労働を行う場合の割増率は、5割に引上げられた)

割増賃金の算定

割増賃金の額

1時間当たりの賃金額 × 時間外・休日労働又は深夜労働時間数 × 割増率

なお、上記計算に当たっては、以下のものは算入しない。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われる賃金
  7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

(労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づき支給されるものであるため)

前ページに戻る