用語集1
育児休業等終了時改定
3歳未満の子を養育している被保険者が育児休業等終了後、勤務時間の短縮等により報酬が低下した場合は、被保険者の申出によって、標準報酬月額を改定することができる。
対象となる人
被保険者が、次のすべての要件に該当したときに対象となる。
1. 被保険者が育児休業等を終了した日において3歳未満の子を養育しているとき
2.育児休業等終了日の翌日の属する月以後3ヶ月間の報酬の平均額が、現在の標準報酬月額と比べ1等級以上の差があるとき
※支払基礎日数が17日未満の月を除いて平均額を計算する
遺族(補償)給付
業務または通勤で労働者が亡くなった場合、遺族に対し遺族補償給付(業務災害)または遺族給付(通勤災害)が行なわれる。また、葬祭を行なった遺族等に対して、葬祭料(業務災害)または葬祭給付(通勤災害)が支給される。
遺族(補償)年金
遺族(補償)年金は、「受給資格者」(受給する資格を有する遺族)のうちの最先順位者(「受給権者」という)に対して支給される。
受給資格者
遺族(補償)年金の受給資格者となるのは、被災した労働者の死亡当時その収入により生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹。
生計を維持していたとは、もっぱらまたは主として被災労働者の収入によって生計の一部を維持していた、いわゆる共稼ぎの場合も含む。
受給資格者の順位
- 妻または60歳以上か一定障害の夫
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の子
- 60歳以上か一定障害の父母
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の孫
- 60歳以上か一定障害の祖父母
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか60歳以上または一定障害の兄弟姉妹
- 55歳以上60歳未満の夫
- 55歳以上60歳未満の父母
- 55歳以上60歳未満の祖父母
- 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹
※ 一定の障害とは、障害等級第5級以上の身体障害をいう。
※ 配偶者の場合、婚姻の届出をしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にあった方も含まれる。
また、被災した労働者の死亡当時、胎児であった子、生まれたときから受給資格者となる。
※ 最先順位者が死亡や再婚等で受給権を失うと、その次の順位の者が受給権者となる(転給)
※ 7〜10の55歳以上60歳未満の夫・父母・祖父母・兄弟姉妹は、受給権者となっても、60歳となるまでは年金の支給は停止される(若年停止)
遺族(補償)年金
次のいずれかに該当する場合に支給される。
- 被災労働者の死亡当時、遺族(補償)年金を受ける遺族がいない場合
- 遺族(補償)年金の受給権者が最後順位者まですべて失権したとき、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金の額および遺族(補償)年金前払一時金の額の合計が、給付基礎日額の1,000日分に満たない場合
給付の内容
上記1.の場合 → 給付基礎日額の1,000日分
上記2.の場合 → 給付基礎日額の1,000円分から、既に支給された遺族(補償)年金等の合計額を差し引いた額
併せて以下の特別支給金が支給される。
被災労働者の死亡当時遺族(補償)年金をうける遺族がいない場合
→遺族特別支給金として300万円が支給されるほか、遺族特別一時金として算定基礎日額の1,000日分が支給される。
遺族(補償)年金の受給権者が最後順位者まですべてが失権したとき、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金の額および遺族(補償)年金前払一時金の額の合計額が給付基礎日額の1,000日分に満たない場合
→遺族特別一時金としてその差額が支給される(この場合、遺族特別支給金は支給されない)
受給権者
遺族(補償)一時金の受給資格者は、1から4.の遺族でこのうち最先順位者が受給権者となる。同順位者が2人以上いる場合は、それぞれが受給権者となる。
- 配偶者
- 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子・父母・孫・祖父母
- その他の子・父母・孫・祖父母
- 兄弟姉妹
遺族(補償)年金前払一時金
遺族(補償)年金を受給することとなった遺族は、1回に限り、年金の前払いを受けることができる。また、若年停止により年金の支給が停止されている場合も前払いを受けることができる。
給付の内容
前払一時金の額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分のなかから、希望する額を選択できる。
前払一時金が支給されると遺族(補償)年金は、各月分の額(1年たってからの分は5%の単利で割り引いた額)の合計額が、前払一時金の額に達するまでの間支給停止される。
1ヶ月単位の変形労働時間制
1ヶ月以内の一定の期間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間を超えない範囲において、当該変形労働時間においては、1日および1週間の法定労働時間の規制にかかわらず、これを超えて労働させることができる制度。
1ヶ月単位の変形労働時間制は、書面による労使協定や就業規則その他これに準ずるもので定めることにより導入することができる。
※法定労働時間は、一般の事業場は1日8時間、1週40時間。「特例措置対象事業場(常時10人未満の労働者を使用する商業、映画・演劇業(映画の制作の事業を除く。)、保健衛生業、接客娯楽業)」は1日8時間、1週44時間。
導入のために定める事項
- 変形労働時間制を採用する旨の定め
- 労働日、労働時間の特定
- 変形期間の所定労働時間=法定労働時間×変形期間の暦日数(1ヶ月以内)÷7日(1週間)
1ヶ月の暦日数 | 労働時間の総枠 |
---|---|
31日 | 177.1時間(194.8時間) |
30日 | 171.4時間(188.5時間) |
29日 | 165.7時間(182.2時間) |
28日 | 160.0時間(176.0時間) |
※カッコ内は特例措置対象事業場(週44時間)の法定労働時間の総枠。
一元適用事業
労災保険と雇用保険に係る保険関係の双方を一の事業についての保険関係として取り扱い、保険料の申告・納付等を一元的に処理する事業を呼ぶ。
そのため、二元適用事業以外はすべて一元適用事業となる。
1週間単位の非定型的変形労働時間制
規模が30人未満の小売業、旅館、料理、飲食店の事業において、労使協定により、1週間単位で毎日の労働時間を弾力的に定めることができる制度。
要件
- 労使協定を締結することにより、1週間の労働時間が40時間(特例事業も同じ)以下になるように定め、かつ、この時間を超えて労働させた場合には、割増賃金を支払う旨を定めること
- 労使協定を所定の様式により、所轄の労働基準監督署に届け出ることが必要
- 1週間の各日の労働時間を、少なくとも当該1週間の開始前に通知する必要があり、この場合必ず書面で通知する
- 1日の労働時間の限度は10時間
1年単位の変形労働時間制
労使協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出ることにより、1ヶ月を超え1年以内の一定期間を平均し1週間の労働時間を40時間以下の範囲以内にした場合、特定の日や週について1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度。
労使協定の締結
次に掲げる事項を労使協定に定める。
- 対象労働者の範囲
- 対象期間(1ヶ月を超え1年以内の期間に限る)及び起算日
- 特定期間
- 労働日及び労働日ごとの労働時間
- 労使協定の有効期間
労働日及び労働日ごとの労働時間に関する限度
対象期間における労働時間の限度
対象期間における労働日数の限度は、原則として1年当たり280日(対象期間が3ヶ月以内の場合制限なし)。
対象期間が3ヶ月を超え1年未満である場合は、次の式により計算した日数(端数切捨て)
280 × 対象期間の暦日数 ÷ 365
暦日数 | 法定労働時間の総枠 |
---|---|
366日 | 2091.4時間 |
365日 | 2085.7時間 |
※変形労働期間が1年の場合
対象期間における1日及び1週間の労働時間の限度
1日 → 10時間
1週間 → 52時間
対象期間における1日及び1週間の労働時間の限度
対象期間 → 6日
特定期間 → 1週間に1日の休日が確保できる日数(12日)
労働日及び労働日ごとの労働時間の特定の特例
対象期間を平均して、1週間の労働時間が40時間を超えないように対象期間内の各日、各週の所定労働時間を定めることが必要で、これは対象期間の全期間にわたって定めなければならない。
ただし、対象期間を1ヶ月以上の期間に区分することとした場合は、下記の方法も可能。
対象期間を1ヶ月以上の期間ごとに区分して、労働日及び労働日ごとの労働時間を定める。
1.対象期間が始まるまでに、労使協定において、具体的な労働日および労働日ごとの労働時間の代わりに次の事項を定める。
- 最初の期間における労働日及び労働日ごとの労働時間
- a.の期間期間以外の各期間における労働日数及び総労働時間
2.上記1-b.の各期間の初日の30日以上前に、当該各期間における労働日および労働日ごとの労働時間を、過半数労働組合または労働者過半数代表との同意を得て書面で定める。
一般拠出金
「石綿による健康被害の救済に関する法律」により、労災補償の対象とならない石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用に充てるため、平成19年度から徴収が開始された。
石綿(アスベスト)は、全ての産業において、その基盤となる施設、設備、機材等に幅広く使用されているため、健康被害救済にあたっては、アスベスト製造販売等を行なってきた事業の事業主のみならず、すべての労災保険適用事業主が一般拠出金を負担することとなっている(特別加入者や雇用保険のみ適用の事業主は、申告・納付の対象外)。
料率
対象 | 労災保険適用事業主の全事業主 |
---|---|
納付方法 | 労働保険料と併せて申告・納付 |
料率 | 一般拠出金率は1,000分の0.05 |
有期事業 | (有期事業)平成19年4月1日以降に開始した事業(工事等)の分を申告・納付 |
・労災のメリット対象事業場であっても、一般拠出金にはメリット料率の適用(割増、割引)はない
一般保険料
事業主が労働者に支払う賃金を基礎として算定する保険料をいい、
年間の賃金総額に労災保険料率と雇用保険料率を合計した率(労災保険に係る保険関係が成立している事業にあっては労災保険料率が一般保険料率となり、雇用保険の保険関係が成立している事業にあっては、雇用保険料率が一般保険料率となる)を乗じて計算する。
労災保険料率は、業務災害及び通勤災害に係る給付並びに労働者の福祉等に要する費用を考慮し事業の種類ごとに定められている。
雇用保険料は、失業等給付並びに労働者の雇用の安定や改善等に要する費用を考慮して定められている。
印紙保険料
雇用保険の日雇労働被保険者に係る保険料をいい、事業主は一般保険料のほか、日雇労働者を雇用するごとに印紙を添付して一定の額の保険料を納付する。
請負事業の一括
建設の事業が数次の請負によって行なわれるとき、個々の下請事業を独立した事業として保険関係を成立させることなく、法律上当然に数次の下請負事業を元請負事業に一括して元請人のみを適用事業主として保険関係を成立させる制度。
この制度は労災保険に係る保険関係に限って適用される。
打切補償
業務上の災害により療養補償を受けている労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷または傷病が治らない場合、使用者は平均賃金の1,200日分を支払うことで、その後は労働基準法にもとづく補償をする必要がなくなることをいう。
労災保険では、療養開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けている場合にはその日に、または同日後に傷病補償年金を受けることとなった場合には受けることとなった日に、使用者は打切補償を支払ったとみなされる。
その結果、労働基準法第19条の解雇制限が解除されることとなる。
衛生委員会
常時50人以上の労働者を使用する事業場には、衛生委員会を設置しなければならない。
労働者の健康障害を防止し、健康の保持増進を図るための基本となる対策などに関し審議し、事業者に対し意見を述べ、労働者の意見を反映させることを目的とする。
衛生委員会および安全委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる。
衛生委員会の委員構成、調査審議事項等
委員の構成 | 1.総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者等(1名) |
---|---|
2.衛生管理者 | |
3.産業医 | |
4.労働者(衛生に関する経験を有する者) | |
調査審議事項 | 1.衛生関する規程の作成に関すること |
2.衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること | |
3.衛生教育の実施計画の作成に関すること | |
4.定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること | |
5.長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること | |
6.労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること等 | |
その他 | 1.毎月1回以上開催すること |
2.委員会における議事の概要を労働者に周知すること | |
3.委員会における議事で重要なものに係る記録を作成し、こえれを3年間保存すること |
衛生管理者
常時使用する労働者数が50人以上の事業場では、業種を問わず衛生管理者を選任しなければならない。
「常時使用する労働者」には、パート・アルバイト・派遣労働者を含む。
衛生管理者免許の区分
- 第一種衛生管理者免許
- 第二種衛生管理者免許
- 衛生工学衛生管理者免許
衛生管理者の職務
労働安全衛生法と労働安全衛生規則により次のものが定められている。
- 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること
- 労働者の衛生のための教育の実施に関すること
- 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
- 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
- 労働衛生に関する方針の表明に関すること
- 法28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること(リスクアセスメント)
- 労働衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
事業場の規模(常時使用する労働者の人数) | 衛生管理者数 |
---|---|
50人以上〜200人以下 | 1人 |
200人超〜500人以下 | 2人 |
500人超〜1,000人以下 | 3人 |
1,000人超〜2,000人以下 | 4人 |
2,000人超〜3,000人以下 | 5人 |
3,000人超〜 | 6人 |
解雇
使用者の一方的な意思により、その労働契約の効力を将来に向かって終了させることをいう。
解雇には以下の種類のものがある
- 普通解雇
- 整理解雇
- 諭旨解雇
- 懲戒解雇
解雇制限期間
使用者は、以下の期間は解雇ができないこととされている。
- 労働者が業務上負傷し又は疾病にかかり、療養のために休業する期間及びその後30日間
- 産前産後の女性が労働基準法第65条の規定(産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間)によって休業する期間及びその後30日間
解雇制限期間の例外
使用者は、解雇制限期間内であっても以下の場合は解雇することができる。
- 労働者が業務上負傷し又は疾病にかかり、療養のため休業し、療養開始後3年を経過しても治らない場合で、平均賃金1,200日分の打切補償を支払うとき
- 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合で、その事由について所轄労働基準監督署長の認定を受けたとき
解雇の予告
使用者が労働者を解雇する場合、少なくとも30日前までにその予告をしなければならない。
30日前の予告を行わない場合、30日分の平均賃金、またはその不足する日数分の平均賃金を支払わなければならない。
解雇予告の適用除外
以下に該当する場合は、解雇予告は適用されない。
- 日々雇入れられる者(1ヶ月を超えて引続き使用される場合を除く)
- 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引続き使用される場合を除く)
- 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引続き使用される場合を除く)
- 試用期間中の者(14日を超えて引続き使用される場合を除く)
介護(補償)給付
障害(補償)年金または傷病(補償)年金の受給権者のうち、障害等級・傷病等級が第1級の者すべてと第2級の「精神神経・胸腹部臓器の障害」を有している場合、介護補償給付(業務災害)または介護給付(通勤災害)が支給される。
支給の要件
- 一定の障害の状態に該当すること介護(補償)給付は、障害の状態に応じ、常時介護を要する状態と、随時介護を要する状態に区分される。
介護の種別 具体的な障害の状態 常時介護 a. 精神神経・胸腹部臓器に障害を残し、常時介護を要する状態に該当(障害等級第1級3・4号、傷病等級第1級1・2号) b. a.と同等度の介護を要する状態 随時介護 a. 精神神経・胸腹部臓器に障害を残し、随時介護を要する状態に該当(障害等級第2級2号の2・2号の3、傷病等級第2級1・2号) b. 障害等級第1級または傷病等級第1級に該当する者で、常時介護を要する状態でない - 現に介護を受けていること。民間の有料の介護サービス等や親族または友人・知人により、現に介護を受けていることが必要。
- 病院または診療所に入院していないこと
- 老人保健施設、障害者支援施設(生活介護を受けている場合に限る)、特別養護老人ホームまたは原子爆弾被爆者特別養護ホームに入所していないこと。
給付の要件
常時介護の場合
- 親族または友人・知人の介護を受けていない場合
- 介護の費用として支出した額(上限:104,530円)が支給される
- 親族または友人・知人の介護を受けているとともに
- 介護費用の支出をしていない場合 → 一律定額:56,720円
- 介護費用を支出しており、その額が56,720円を下回る場合 → 一律定額:56,720円
- 介護費用を支出しており、その額が56,720円を上回る場合 → その額を支給(上限:104、530円)
随時介護の場合
- 親族または友人・知人の介護を受けていない場合
- 介護費用として支出した額が支給される(上限:52,270円)
- 親族または友人・知人の介護を受けているとともに
- 介護費用の支出をしていない場合 → 一律定額:28,360円
- 介護費用を支出しており、その額が28,360円を下回る場合 → 一律定額:28,360円
- 介護費用を支出しており、その額が28,360円を上回る場合 → その額を支給(上限:52,270円)
概算保険料
年度当初または事業が開始されたときにその保険年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)中に支払われる賃金総額の見込額に保険料率を乗じて算定する保険料をいう。
概算保険料の延納(分割納付)
概算保険料を分割して納付する制度のことをいい、継続事業にあっては、納付すべき概算保険料の額が40万円(労災保険または雇用保険のいずれか一方の保険関係のみが成立している事業については20万円)以上のもの、または労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託しているものであって、事業主が申請した場合、原則として3回に分けて納付することができる。
有期事業(事業の期間が6ヶ月以内のものを除く)については、概算保険料の額が75万円以上のもの、または労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託しているものについては、事業主が申告した場合その事業期間に応じて分割納付できる。
確定保険料
毎保険年度の末日または保険関係が消滅した日までに、使用した労働者に実際に支払われた賃金総額に、保険料率を乗じて算定する保険料をいう。
管理監督者
労働基準法第41条において、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」については、労働時間等に関する規定の適用除外とされている。
そのため、会社の「管理職」や「管理者」に対して時間外労働や休日労働における割増賃金を支給しないとしているケースが多い。
管理監督者は法律上の労働時間等の制限を受けないが、管理監督者に当てはまるかどうかは役職名ではなく、その社員の、「職務内容」、「責任と権限」、「勤務態様」、「待遇」を踏まえて実態により判断されます。
- 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な「職務内容」を有していること
- 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な「責任と権限」を有していること
- 現実の「勤務態様」も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
- 「賃金等」について、その地位にふさわしい「待遇」がなされていること
企画業務型裁量労働制
労働者が自らの知識、技術や創造的な能力をいかし、仕事の進め方や時間配分に関し主体性をもって働けるように設けられた制度。企業の本社等において企画、立案、調査及び分析を行なう労働者を対象とした制度。
導入できる事業場
労使委員会が設置された事業場であり、以下に該当すること。
- 本社・本店である事業場
- 本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に、当該事業場に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行なっている支社・支店等である事業場
労使委員会で定める事項
- 対象となる業務の具体的範囲
- 対象労働者の具体的範囲
- 労働したものとみなす時間
- 使用者が対象となる労働者の勤務状況に応じて実施する健康及び福祉を確保するための措置の具体的内容
- 苦情処理のための措置の具体的内容
- 本制度の適用について労働者本人の同意を得なければならないこと及び不同意の労働者に対し不利益取扱いをしてはならないこと。
- 決議の有効期間(3年以内とすることが望ましい)
- 企画業務型裁量労働制の実施状況に係る記録を保存すること(決議の有効期間及びその満了後3年間)
休業(補償)給付
労働者が業務または通勤が原因となった負傷や疾病による療養のため労働することができず、そのために賃金を受けていないとき、その第4日目から休業補償給付(業務災害)または休業給付(通勤災害)が支給される。
給付の内容
- 業務上の事由または通勤による負傷や疾病による療養
- 労働することができない
- 賃金を受けていない
以上の3つの要件を満たした場合、その第4日目から、休業(補償)給付と休業特別支給金が支給される。
支給額
- 休業(補償)給付 =(給付基礎日額 × 60%)× 休業日数
- 休業特別支給金 =(給付基礎日額 × 20%)× 休業日数
休業の初日から3日目までを待機期間といい、この間は業務災害の場合、事業主が労働基準法に基づく休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行なう。
一部負担金
通勤災害により給付を受ける場合は、初回の休業給付から一部負担金として200円(日雇特例被保険者については100円)が控除される。
休憩
使用者は労働時間の長さに応じた休憩を与えなければならない。
- 6時間超 → 45分
- 8時間超 → 60分
休憩時間は、労働時間の途中に与えなければならない
休憩時間は、一斉に与えなければならない。
一斉に与えないことができる場合
- 過半数組合または労働者の過半数代表者との間で労使協定を締結
- 交替制による取得が認められている業種
- 運輸交通業、商業、金融・広告業・映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業
休憩時間を自由に利用させなければならない。
休憩時間中に来客対応や電話対応を命じると、それは手待ち時間とされ休憩を取得させたことにはならず注意が必要です。
休職
使用者が一定の事由が生じた場合に、従業員との労働契約を維持させつつ労務の提供を禁止または免除することをいう。
労働協約や就業規則に定めるが、必ず設けなければならないものではなく、解雇猶予措置として行なわれることもある。
休職事由例
- 業務外の傷病により長期欠勤が続く場合
- 刑事事件に関して起訴された場合
- 個人的な事情により長期欠勤する場合 等
休職中は賃金が支払われない場合が多く、傷病休職の場合は、健康保険の給付を受けるのが一般的。
欠勤期間は勤続年数に応じて休職期間も長く設けられることが多い。
休日
休日とは労働者が労働義務を負わない日をいう。原則として暦日を単位とし、午前0時から午後12時までである必要がある。
法定休日
毎週少なくとも1回または4週間を通じ4日以上与えなければならない。
法定外休日
法定休日を上回る部分の休日をいう。
業務上災害
業務災害とは、業務が原因となり被災した労働者の負傷、疾病、障害または死亡(以下「傷病等」)をいう。 業務が原因となった負傷等、業務と傷病等との間に一定の因果関係がある場合のことを「業務上」という。
業務上の負傷について
- 事業主の支配・管理下で業務に従事している場合
(所定労働時間内や残業時間内に事業場施設内において業務に従事している場合)被災した労働者の業務としての行為や事業場の施設・設備の管理状況等が原因となって発生するものと考えられるので、特段の事情がない限り、業務災害と認められる。
- 事業主の支配・管理下にあるが業務に従事していない場合
(昼休みや就業時間前後に事業場施設内にいて業務に従事していない場合)出勤して事業場施設内にいる限り、労働契約に基づき事業主の支配管理下にあると認められるが、休憩時間や就業前後は実際に業務をしてはいないので、この時間に私的な行為により発生した災害は原則として業務災害とは認められない。
- 事業主の支配下にあるが、管理下を離れて業務に従事している場合
(出張や社用での外出等により事業場施設外で業務に従事している場合)事業主の管理下を離れているものの、労働契約に基づき事業主の命令を受けて仕事をしているため事業主の支配下にあり、仕事の場所はどこであっても、積極的な私的行為を行なう等特段の事情がない限り、一般的に業務に従事していることから、業務災害について特に否定すべき事情がない限り、一般的には業務災害と認められる。
業務上の疾病について
疾病については、業務との間に相当因果関係が認められる場合に労災保険給付の対象となる(業務上疾病)。業務上疾病とは、労働者が事業主の支配下にある状態において発生した疾病ではなく、事業主の支配下にある状態において、有害因子にさらされたことによって発症した疾病をいう。
一般的に以下の3つの要件に該当する場合は、原則として業務上疾病とされる。
- 労働の場に有害因子が存在していることこの場合の有害因子は、業務に内在する有害な物理的因子、化学物質、身体に過度の負担のかかる作業、病原体等の諸因子を指す。
- 健康障害を起こしうるほどの有害因子にさらされたこと健康障害は、有害因子にさらされることにより起こるが、その健康障害を起こすに足りる有害因子の量、期間にさらされたことが認められなければならない。
- 発症の経過および病態業務上の疾病は、労働者が業務に内在する有害因子に接触することによって起こるものであり、少なくともその有害因子にさらされた後の発症でなければならない。しかし、業務上疾病の中には、有害因子にさらされた後、短期間で発症するものもあれば、相当長期間の潜伏期間を経て発症するものもあり、発症の時期は有害因子の性質や接触条件等によって異なる。そのため、発症の時期は有害因子にさらされている期間やその直後に限られるものではない。
継続事業
事業の期間が予定されない事業のことをいい、一般の工場、商店、事務所等が該当する。
最低賃金制度
使用者は、国が定める最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。最低賃金額より低い賃金を労働者と使用者の合意により定めたとしても無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとされる。
最低賃金は2種類ある。
- 地域別最低賃金:産業や職業に関わりなく、都道府県のすべての労働者に適用されるもの
- 産業別最低賃金:特定の産業及び職業の労働者に適用されるもの
最低賃金は、労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力を総合的に勘案して都道府県ごとに決定される。労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮することとされている。
地域別最低賃金額以上を支払わない場合、罰金(上限50万円)が定められている。
36協定
労働基準法では1日及び1週の労働時間並びに休日日数を定めているが、時間外労働・休日労働の協定(36協定)を締結し、労働基準監督署長に届出ることを要件として、法定労働時間を超える時間外労働及び法定休日における休日労働を認めている。
ただし、時間外労働・休日労働を無制限に認める趣旨ではなく、必要最小限にとどめられるべきものであり、労使がこれを十分に認識した上で36協定を締結する必要がある。
必要な協定事項
- 時間外労働をさせる必要のある具体的な事由
- 時間外労働をさせる必要のある業務の種類
- 時間外労働をさせる必要のある労働者の数
- 1日について延長することができる時間
- 1日を超える一定の期間について延長することができる時間
- 有効期間
業務区分の細分化
対象業務を拡大することがないように、締結に当たっては業務の区分を細分化し、時間外労働をさせる業務の範囲を明確にしなければならない。
締結が必要な期間
36協定は以下の期間について締結する必要がある。
- 1日を超え3ヶ月以内の期間
- 1年間
延長時間の限度
36協定で定める延長時間は、最も長い場合であっても、以下の表の限度を超えないものとしなければならない。
1.一般の労働者の場合
期間 | 限度時間 |
---|---|
1週間 | 15時間 |
2週間 | 27時間 |
4週間 | 43時間 |
1ヶ月 | 45時間 |
2ヶ月 | 81時間 |
3ヶ月 | 120時間 |
1年間 | 360時間 |
2.1年単位の変形労働時間制の対象者で、対象期間が3ヶ月を超える場合
期間 | 限度時間 |
---|---|
1週間 | 14時間 |
2週間 | 25時間 |
4週間 | 40時間 |
1ヶ月 | 42時間 |
2ヶ月 | 75時間 |
3ヶ月 | 110時間 |
1年間 | 320時間 |
産業医
常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、事業者は産業医を選任し、労働者の健康管理等を行なわせなければならないこととなっている。
産業医の選任
事業者は、事業場の規模に応じて、以下の人数の産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければならない。
常時使用する労働者数 | 選任人数 |
---|---|
50人以上 | 1人以上 |
3,000人超 | 2人以上 |
常時1,000人以上の労働者を使用する事業場と、労働安全衛生規則第13条第1項第2号に該当する業務に、常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければならない。
産業医の職務
- 健康診断、面接指導等の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置、作業環境の維持管理、作業の管理等労働者の健康管理に関すること
- 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること
- 労働衛生教育に関すること
- 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること
産業医は、労働者の健康を確保するための必要があると認められるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。また、産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
就業規則
使用者が、その事業場の労働条件の具体的内容を定めた規則の総称をいう。
作成及び届出
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、必ず就業規則を作成しなければならない。また、労働者が常時10人未満であっても、就業規則を作成することが望まれる。
※労働者には、パートタイマーやアルバイト等を含む
就業規則の作成及び変更にあたっては、当該事業場の過半数労働組合か、それがない場合は労働者の過半数代表者の意見を聴取しなければならず、届出の際にその意見を記した書面を添付しなければならない。
周知
就業規則を全員に周知しなければならない。
周知方法
- 配付する
- 事業場のみやすい場所に掲示する
- 磁気テープや磁気ディスク等に記録し、内容を常時確認できる状態にする等
事業場外みなし労働時間制
労働者が業務の全部または一部を事業場外で従事し、使用者の指揮監督が及ばないために、当該業務に係る労働時間の算定が困難な場合に、使用者のその労働時間に係る算定義務を免除し、その事業場外労働については「特定の時間」を労働したものとみなすことのできる制度。
1.事業場外労働のみなし労働時間の対象となる業務・対象にできない業務
事業場外で業務する場合であっても、使用者の指揮監督が及んでいると労働時間の算定が可能なため、次の場合はみなし労働時間制を採用することができない。
- 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
- 無線やポケベル等によって随時使用者の指示を受けながら事業場外で労働している場合
- 事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後、事業場に戻る場合
2.事業場外労働のみなし労働時間制における労働時間の算定方法
事業場外労働のみなし労働時間制が適用される事業場外の業務に従事した場合における労働時間の算定には、3つの方法がある。
- 所定労働時間
- 事業場外の業務を遂行するために、通常所定労働時間を超えて労働することが必要である場合には、当該業務の遂行に通常必要とされる時間
- b.の場合で、労働協約または労使協定が締結されているときは、その協定で業務の遂行に通常必要とする時間として定めている時間
出向
出向とは、現在勤めている会社に在籍したまま他の会社で業務に従事することをいい、「在籍出向」とも言われる。
在籍出向は、以下の場合は有効と考えられている。
- 就業規則等の包括的規程により、使用者に出向命令権が認められること
- その行使が強行法規に違反していたり、権利濫用でないこと
賞与
一般的に日本企業では、夏と冬の年に2回支給されることが多く、ボーナスとも呼ばれている。
支給対象期間に対する出勤率や、目標達成率等についての人事考課が行なわれ、一般的に基本給×○ヵ月分(支給率)という計算式により最終的に確定される。 従来は年齢や勤続年数を重視した計算により決定されていたが、現在では業績や評価のウェイトを大きくしている傾向がある。
賞与の性格
賞与には以下のような性格があるといわれている。
- 賃金の後払的性格
- 生活補填的性格
- 収益分配的性格
障害(補償)給付
業務または通勤が原因となった負傷や疾病が治ったとき、身体に一定の障害が残った場合には、障害補償給付(業務災害)または障害給付(通勤災害)が支給される。
給付の内容
残存障害が障害等級表に掲げる障害等級に該当するとき、その障害の程度に応じて支給される。
- 障害等級第1級から第7級に該当するとき → 障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金
- 障害等級第8級から第14級に該当するとき → 障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金
年金の支給月
障害(補償)年金は、支給要件に該当することとなった月の翌月分から支給され、毎年偶数月の年6回、それぞれの前2ヶ月分が支払われる。
傷病(補償)年金
業務または通勤が原因となった負傷や疾病の療養開始後1年6ヶ月を経過した日またはその日以後、次の要件に該当する場合、傷病補償年金(業務災害)または傷病年金(通勤災害)が支給される。
- その負傷または疾病が治っていないこと
- その負傷または疾病による障害の程度が傷病等級表の傷病等級に該当すること
給付の内容
傷病等級に応じて、傷病(補償)年金、傷病特別支給金および傷病特別年金が支給される。
傷病等級 | 傷病(補償)年金 | 傷病特別支給金(一時金) | 傷病特別年金 |
---|---|---|---|
第1級 | 給付基礎日額の 313日分 | 114万円 | 算定基礎日額の 313日分 |
第2級 | 給付基礎日額の 277日分 | 107万円 | 算定基礎日額の 277日分 |
第3級 | 給付基礎日額の 245日分 | 100万円 | 算定基礎日額の 245日分 |
年金の支給月
傷病(補償)年金は、上記1および2の支給要件に該当することとなった月の翌月分から支給され、毎年偶数月の年6回、それぞれの前2ヶ月分が支払われる。
※傷病(補償)年金が支給される場合、療養(補償)給付は引続き支給されるが、休業(補償)給付は支給されない。
賞与支払届
標準賞与額とは
年3回以下支払われる賞与についても、毎月の給与と同様に健康保険料、厚生年金保険料を納める。
保険料の対象となる賞与の額は被保険者に支給される賞与の1,000円未満を切捨てた額で、これを「標準賞与額」という。
賞与支払届の提出
事業主は被保険者に賞与を支給したときは、「被保険者賞与支払届」に「被保険者賞与支払届総括表」を添付して、賞与を支払った日から5日以内に提出する必要がある。なお、賞与支払予定月に賞与の支払いがなかった場合でも、「不支給」として総括表だけを提出しなければならない。
人事考課
人事管理システムの一環として従業員に対する評価を行なうこと。一般的には、能力、態度、業績が評価される。
昇給や給与の決定、賞与の査定、昇格の判断等に用いられるほか、能力開発や適正配置を行なうための資料となる。
随時改定
被保険者の標準報酬月額は、原則として次の定時決定までの間変更しない。
昇給等により報酬の額が著しく変動した場合、被保険者が実際に受ける報酬との間に隔たりが生じ、実態にそぐわなくなることがある。
その場合、著しい変動があった月以降の継続した3ヶ月間の報酬をもとに、4ヶ月目から標準報酬月額を改定することになり、これを「随時改定」という。このために提出する届出書を「月額変更届」という。
月額変更届の対象となる人
次の3つの要件すべてに該当したときは、随時改定の対象となる。
- 固定的賃金の変動または賃金(給与)体系の変更があったとき
- 変動月以降の継続した3ヶ月の報酬の平均額と現在の標準報酬月額と2等級以上の差があるとき
※1等級の変動でも随時改定の対象となる場合あり
- 変動月以降の継続した3ヶ月の支払基礎日数がすべて17日以上であるとき
固定的賃金の変動・賃金(給与)体系の変更の例
- 昇給、降給
- 家族手当・住宅手当・通勤手当等の固定的な手当の新設、金額の変更
- 日給や時給などの基礎単価が変わったとき
- 日給制が月給制に、月給制が歩合制になったとき 等